2021年3月3日、志筑でアイスキャンディ屋“ICE-UP”を営む多田さんご夫婦にインタビューを行いました。こちらの記事はICE-UP第2弾で今回は奥様編です。
「ふらっと来られるフラットな場をつくりたい」
淡路島に住むことが学生時代からの夢だったという多田ゆうこさんは大阪府出身で、ご夫婦揃って社会福祉士でもあります。アイスキャンディを最強のサブツールとして淡路島を盛り上げたいと奮闘中!
(写真は左から多田ゆうこさん、多田健造さん)
内容項目
高校時代について
どんな学生生活だったか
私は大阪の高校に通っていました。部活は何も所属せず、学校行事にもあまり興味がありませんでした。
学校以外の時間で楽しいことを探していろんなことに挑戦していました。映画館や繁華街に毎週のように行っていた時期もありました。
また、特定のアルバイトを続けるというよりは、何かやりたいことや欲しいものがでてきた時に日払いのバイトをやって、そのためのお金が貯まったら辞めるという生活を繰り返していました。
高校時代の夢
私はおばあちゃんおじいちゃん子だったので、高齢者が住みやすい社会を作りたいと思っていました。当然高齢者のほうが多くの人より長く生きているのに何かと我慢していることが多く弱い立場になっているのではないかと感じていて、小さい頃からそこに違和感を持っていました。
高齢の方が生活しづらいと感じることを無くすような取り組みがしたくて、そのようなことについて学ぶことができる福祉の大学に行きたいと思っていました。
大学時代について
大学は主人と同じ大学に進学しました。私は福祉関係の仕事がしたいと強く思っていたわけではなく、あくまで小さな頃から感じた違和を解消し高齢の方が暮らしやすい社会をつくるためにはどうすればいいのかを学びたくて大学に行きました。
しかし、大学に通ううちに障害を持つ子どもへの興味が大きくなり、彼らが通う施設や外出時のサポートを行う移動支援のアルバイトをしていました。
当時の私は自分の感性や視野を広げるためには同年代の人との集団生活よりも、たくさん社会人の方の話を聞くことのほうが将来の自分にとって価値が大きいと感じていました。そのため、サークルには所属せず色んなアルバイトを体験し、社会人の方々の話を聞かせていただく中で自分に合うものは何かとずっと探していました。
その経験が今の自分に直結していて、実際にお話を聞いていて楽しそうな人や充実した生活を送っている人は変わることを恐れない人だということを感じました。
淡路島に移住する前
障害を持つ子どもが通所する学童のような施設で仕事をしていました。他にも百貨店で働いたり、同僚が起こした福祉事業の手伝いをしたりもしていました。
淡路島に移住する直前数年間は障害児の通所する放課後等デイサービスでマネージャーとして施設を運営し、自立支援のためのプログラムづくりや企業開拓をしていました。
また、主人とは学生生活は被っていませんが、私が所属していたゼミのOBであった主人が講師として大学に来たことが出会いでした。そこから紆余曲折を経て淡路島への移住のタイミングで結婚しました。
(写真は左から多田ゆうこさん、多田健造さん、初島、河村)
淡路島に移住する時
どう思ったか
大学生の時から淡路島が好きで一人で淡路島に行くこともあったので、いつか淡路島に住みたいと思っていました。そのため、出会った時から主人がいつかは淡路島に帰ると言っていたので、淡路島にUターンする話が出たときはやっと淡路島に住めるのかと嬉しく思いました。
淡路島に住みたいと思った一番の理由は自然が豊かなところで、あわじ花さじきや淡路島を囲む海を見て住むならここだと思いました。
決心するきっかけ
決心するというよりも淡路島に住むことが学生時代からの夢だったので抵抗感が無かったです。そのため、すぐに仕事を辞める準備も始めましたし、淡路島で生活するにあたって何かと問題もあるとは思いましたが、実際に住んでみても想定の範囲内でした。
ICE-UPについて
ICE-UPの紹介
小さいお子さんやお年寄りの方も障害のある方も全員がフラットに集まれる、来てくれる場所にしたいと思っています。淡路島の中の人外の人関係なくふらっと来やすいお店になればいいなと。また、アイスアップ 自体が淡路島の魅力を伝えられるようになればいいなと思っています。
ICE-UPの魅力
魅力は大きく3つあります。
1つ目は紹介での言った通り年代を問わず楽しんでいただけるお店であるということ。
2つ目が白いお砂糖や添加物を極力使わずに作っているので、罪悪感なくアイスキャンディを食べられるということ。
3つ目はお店の立地で地元の人は気張らずに、淡路島に遊びに来た人は非日常が味わえるような場所にお店を構えているということです。
ICE-UPの業務について
分業について
分業はあまりしておらず、生産者さんとの最初の挨拶や訪問は2人で行って細かいやり取りは主人が担当しています。アイスキャンディについては私が作るときは夫が受付をしてまたその逆もあります。
営業日の一日のサイクル
朝は結構ゆっくりしていて、9:00~9:30で開店準備をし、10時に開店したら一人は店番、もう一人は裏でアイスづくりをし、17時に閉店で、二人で閉店作業、インスタ用の写真を撮って一日の業務は終了です。
やりがい
島外の人は淡路島がいい所ということは知っているけど、具体的に淡路島に何があるのかは知らないという人が多いと感じます。そのため、アイスキャンディの材料として使用させていただいている農産物の生産者さんについて情報発信をしたり、アイスキャンディを食べていただくことで、淡路島に興味を持ってもらったり具体的な魅力を知ってもらったりしたいです。
アイスアップ がきっかけで淡路島に来て果物狩りしましたとか、淡路島にふるさと納税しました等と実際に言っていただけることもあり、そんな声を聞くと淡路島の魅力を少しでも伝えられたのかなと実感できやりがいも感じます。
(写真は多田ゆうこさん)
淡路島について
淡路島の魅力
淡路島に移住する前から山や海などの自然や雰囲気から、漠然と淡路島の空気っていいなと思っていました。
淡路島に移住してからは淡路島の食材にすごく魅力を感じるようになりました。大阪にいた時とは食材の鮮度が全然違っていて、近所で買った魚や野菜がすごくおいしいし、鮮度も質もよい食材がたくさんあるのは魅力的だと思います。
子育ての環境について
私たちにはまだ子供はいませんが、淡路島は子育てするにはすごく良い環境だと思います。自然豊かで近所との関係性が残っていることは子育てにおいてすごく良いと思います。
しかし、子供を産める病院が少ないです。また、進学できる学校の選択肢が少ないので、大学に行くような年齢になれば一度は淡路島の外に出て、島内ではできない経験をたくさんした方がいいのかなとは思います。
女性ならではの悩み
まずは女性ならではかどうかはわかりませんが、大阪に比べるとどうしても服が買える場所や美容室などの選択肢が少ないと感じます。インターネットに公開されている情報が少なく、基本的に口コミなので移住者にとっては大変で、ファッションや流行に対して手軽さがないのは難しい所です。
また、産婦人科など専門的な病院の選択肢が少なく、人に知られたくないようなデリケートな悩みが出てきた場合に手軽に行けないという悩みが出てくる可能性を感じています。
理想の将来
アイスキャンディがメインになるのではなく、あくまで最強のサブツールとしてICE-UPの存在が淡路島にとって当たり前のものになったらいいなと思います。「なくてもいいけどあったらいいよね」というものに。気づいたら手に取ってもらえるような位置づけになりたいです。
今は週休二日で5日は店を開けていますが、アイスキャンディがご当地キャンディのようになっていく方が淡路島にとっていいのであれば、お店の営業日を減らし、製造にあてる日を増やしていくかもしれません。アイスキャンディじゃなくなることがあっても良いとも思います。あくまでも淡路島を多くの人に好きになってもらえるように。お店の営業方法や事業形態はその時の状況変化に合わせて柔軟に対応できるようになればいいなと思っています。
無理せずじゃないですが、ちょっとだけ日々無理をしながら、仕事ベースではなく、私たちが自分たちの生活ベースでやっていけたら、淡路島に移住することの魅力が島外の人にも伝わるのではないかとも思います。
こんな淡路島になったらいいな
これから淡路島は企業誘致による影響や、淡路島に移住して新しいことに取り組む方々の影響もあって、どんどん変化していくと思います。その変化を淡路島全体で受け入れていくことができるようになればいいなと思います。
もちろん昔からの淡路島の伝統に誇りを持つことも大切です。淡路島のことを想う地元の人と、淡路島が大好きで移住してきた人がフラットな関係でいられて、お互いの活動が融合しながら発展していくことができればいいなと思います。
学生・起業を考える人へのアドバイス
学生に対して
私は学生時代、就職してしまったらそこからの選択肢は限りなく少なくなり、次の選択肢に進むには物凄い労力がいると思っていました。しかし、それは間違いで、就職してからのほうが選択肢はたくさんあって、実際に転職していく人もたくさん私の周りにはいました。
学生のうちは頭でっかちになって情報を集めることも大切だと思います。卒業するときに選択したことが最終ゴールだと思うことなく、社会に出てからもいろんなことに挑戦した方が楽しい人生が送れるのではないかなと思います。
起業したい人に対して
失敗しても周りに少しの迷惑で済むのなら、やってみてもいいと思います。最初は自分ができる範囲からやってみたらいいと思いますし、やってみて無理だと思ったらやめて他のことで回復しようと思うことができるタイプなら問題ないと思います。
Comments